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技術者倫理と空気調和・衛生技術者の立場の再確認を


平成18年5月

会長  鎌田 元康

 

 平成17年11月の建築士による建築物の構造計算書偽造に端を発した不祥事は、居住者の財産と安全をおびやかし、消費者全般の建築物の耐震性への不信をもたらし、一連の行為は不法行為として警察の捜査対象となる事態が続いています。今回の不祥事は、最も大切な居住者の「生命に関わる安全性」をないがしろにした行為から生じたものです。今回の問題に関しては、建築確認制度・検査体制の不備、建設産業における発注・受注の重層構造、建築士制度、コスト低減競争など、いろいろな問題が指摘されています。これらが今回の事態の背景ではありますが、学術団体である本会といたしましては、少なくとも、「技術者倫理」の問題は避けてとおることはできません。私たち空気調和・衛生技術者は、この事実を特殊な例として片付けてはならず、高度技術社会における専門技術者の地位と責任に関する自身の問題として真摯に受けとめねばならないと考えます。

 本会においては、技術者と学会の活動指針を設けています。本会会員の皆様には、これらをベースとして技術者倫理を再確認いただき、各自でさらに認識を深めていただくことをお願いいたします。

 私たち、空気調和・衛生技術者は、社会貢献によって高い社会的地位を占める立派な核を二つ持っています。一つは、建築内での居住者の健康や生活に直接寄与できる環境づくりという「私的効用」で寄与できることです。もう一つは、私たちが作り、運用するシステムが、地球温暖化に関与する二酸化炭素の量を削減し、循環型社会形成に寄与できるという「公的効用」の両者です。 このような空気調和・衛生技術に関する専門技術者としての社会的な役割を認識して、 SHASE-CPD などで技術者倫理も含む研鑽を積み、誠実な仕事をすることが、私たちが社会的信頼を維持することができ、かつ社会的地位の向上につながる確実な道であります。

 本会会員の皆様におかれましては、それぞれの立場で本会「 空気調和・衛生技術者行動指針」を踏まえ 、専門技術者としての社会的立場を再認識し、社会的要請にお応えする活動に尽力されますよう期待いたします。

 

「空気調和・衛生工学会活動指針」および「空気調和・衛生技術者行動指針」

第76期通常総会(平成15年5月13日)決議

前 文

 空気調和・衛生工学会と会員は、 「安全で衛生的、快適で健康的な生活環境」、「生産・研究のための高度な産業環境」 (以下、これらを「建築環境システム」という。) の創造に係わり、空気調和・衛生技術が持続可能で豊かな社会の実現に大きな影響力をもつことを認識し、公共の福祉と社会・産業の発展に寄与するよう尽力する。
 

空気調和・衛生技術者行動指針

 空気調和・衛生工学会会員は、適切な倫理感に基づく行動により 社会の信頼と尊敬を得られる技術者とし て、「空気調和・衛生技術者行動指針」 ( 以下、「本会会員の行動指針」という。)を遵守する。

本会会員の行動指針
(1)建築環境システムにおいては、 「人の健康・安全を最優先」に行動する。
(2)建築環境システムの重要性を正しく認識し、 「専門技術を通した社会貢献」を目指して尽力する。
(3)社会貢献には専門技術の向上が最大要件であることを認識し、 「自己研鑚」など不断の努力を惜しまない。
(4 )設備的対応にとどまらず、 「建築の企画段階から貢献できる専門家」として尽力する。
(5)今後のニーズの多様化に対応するため、視野を広くもち 「幅広い分野の知識獲得」に努める。

(6)環境とエネルギーの 「質を適切に考慮した最適な建築環境システム 」を構築し 、「持続可能で豊かな社会の実現」に尽力する。特に、システムのあり方が大きな影響を及ぼす 「都市や地球規模境問題の緩和」に率先して寄与する。

(7)機能を発揮する建築環境システムを創出するのみではなく、背景にある環境問題などの 「社会的課題とシステムとの係わりをユーザーに適切に伝える」よう努める。

(8)「遵法の精神」で職務を誠実に遂行する。法的制約の未整備な新しい問題に対処する場合には「公共の利益」を優先する。

 
空気調和・衛生工学会活動指針
 
 空気調和・衛生工学会は、創立の理念を踏まえつつ、21世紀初頭における空気調和・衛生技術の発展を通じて広く社会に貢献すべく、「空気調和・衛生工学会活動指針」(以下、「本会の活動指針」という。)のもとに活動を推進する。
本会の活動指針
(1)空気調和・衛生工学と工業に係わる根幹領域の学術・技術の発展と継承に努力する。
(2)社会のニーズを先取りするニューフロンティアの開拓を推進する。
(3)関連他分野及び国内外の学協会等との連携を推進する。
(4)会員の自己研鑚を支援する。
(5)関連学術・技術情報の整備、発信、交流を推進する。

(6)会員が活動に情熱と誇りをもてる学会を目指した施策を推進する。

(7)建築や都市など居住環境の全体システムのあり方に積極的に発言する。

(8)市民への情報提供など直接の社会貢献を推進する。


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