山中研究室では主に建築環境工学、建築環境設備について研究をしています。
研究のキーワードとしては、「環境」「設備」「人間」「エネルギー」の4つであり、人が快適で健康的に過ごすことができる空間をするために、音・光・熱・空気の諸環境の条件で表現し、望ましい環境の在り方を考え、そういった環境を実現するための建築設備や低環境負荷での提供といった環境制御について研究をしています。
本研究室の紹介では、①室内気流や換気システム、②通風や流体解析、③空気質や知的生産性の大きく3つの研究テーマに分けてご紹介します。
本研究室では様々な新しい換気方式について、換気性能や温度・濃度分布などの室内気流性状の把握・検証を行っています。
Impinging Jet Ventilation方式(IJV)の室内環境予測手法に関する研究では、床面に向かって給気を行い、床面衝突後に床面に沿って広がる気流を用いた新しい換気方式について、本学の人工気候室での実大実験とCFD解析により室内温度・濃度やAr数について検討しています。
縦型誘因吹き出し空調を有する4床病室の換気性能に関する研究では、高速度で吹出される一次気流で周辺空気を誘引し給気する事により、省エネルギーでドラフト感の少ない空調を行う方式について、実大実験とCFD解析により、効果の検討や改良案の提案を行っています。
本研究室では置換換気と呼ばれる換気方式を対象とした研究も多く行われています。
置換換気とは、室下部から低速で給気し、人体や機器などの発熱体によって上昇気流を発生させ、汚染物と共に室上部で排気する換気方式です。
特に本研究室では講義室やオフィスを対象としたCFD解析・実大実験を行っています。
講義室での置換換気については、室全体や各個人の位置での濃度分布及び空気質をCFD解析によって評価しています。
オフィスでの置換換気では、新型コロナウイルス感染症の対策のため、置換換気にパーソナル空調を組み合わせたブース型置換換気をブース高さや給気量をパラメータとした実大実験により評価しています。室内環境の要素として、空気質に関連した「香り環境」についても研究しています。
近年、建築のウェルネス導入や働き方改革推進により、室内の快適性や知的生産性の向上への注目が高まっている。そういった建築環境の質に対する価値が高まっている中で、オフィスやホテル、商業施設に香りを導入する事例が増えてきており、香りによるストレス緩和や集中力向上の可能性があると期待されています。
そこで、学習空間や休憩空間における香り環境の実現のために、香りが及ぼす心理・生理的影響について調査をしています。
香りの有効的な使用方法を社会に提案することは、最終的には建築環境にさらなる付加価値を与えることにつながると考えています。
研究室名 | 大阪大学 山中研究室 |
URL | |
教授 山中俊夫 yamanaka@arch.eng.osaka-u.ac.jp | |
住所 | 〒565-0871 吹田市山田丘2-1 大阪大学工学研究科地球総合工学専攻 建築環境・設備Gr |
山中研究室では、省エネルギー性と快適な室内環境を両立する技術についての研究も多く行っています。
自然換気は、近年導入の試みが増加している中高層オフィスを対象とした自然換気設計手法の確立を目指し、回路網計算を用いたパラメータ解析をしています。
エアカーテンは空気のカーテンによって空間を2つに遮断するものです。縮小模型を製作し、空調負荷削減効果の把握やその予測手法確立のために実験しています。
分割型膜天井空調は、PACの下に膜を分割して取り付けることで対流・放射成分と膜を通る微気流によって空調する方式です。ドラフト感と冷房効率を両立できる膜敷設率を求めるため実験しています。