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はじめに
室内で手を叩いて響き具合いを調べる,あるいは鉄道車両の輪軸(一般に構造物)をハンマーで衝撃を加えて異常の有無を調べるなどといったことがよく行なわれている。これらの例では,継続時間が極めて短いインパルスを対象とするシステム(系)に入力し,その応答(impulse
response)を耳で調べている。このようなインパルス応答には,システムに関する多くの情報が含まれており,線形システムを解析する際には極めて重要な概念である1),2)。本稿では,このインパルス対応とそれを周波数領域表示した周波数応答関数について概説する。また,音響系を例にとって,インパルス応答の測定法についても述べる。
1.インパルス応答
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| 図-1 線形系の入力・出力 |
図-1に示すように,線形(linear)で時不変(time-invariant)性が仮定できる物理システムに継続時間が無限に短いインパルス(数字的にはδ関数)を入力したときの出力をインパルス応答(impulse
response)という。原理的には,インパルスはすべての周波数成分を含んでいるので,インパルス応答(システム関数あるいは重み関数と呼ばれることもある)にはシステムのすべての時間的・周波数的情報が含まれている。
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| 図-2 動的熱負荷計算における三角波応答と応答係数 |
音響の分野で可聴周波数帯域(20Hz〜20kHz)を問題とすると,極めて広い周波数帯域を扱う必要があり,入力として継続時間が極めて短いδ関数的なインパルスを入力したときの応答の計算あるいは測定が行われている。一方,熱の分野における動的熱負荷計算では,建築構造や部位の熱的応答として,比較的ゆっくりした現象を取り扱えばよいので,図-2に示すように入力(外気温度など)として二等辺三角形のパルス(単位三角形:底辺は2時間とするのが一般的)を設定し,それに対する系の応答(壁面温度、熱流など)を計算する方法(応答係数法)が一般に用いられている3)。
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