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2.フーリ工級数の複素数表示
 前節では、周期関数x(t)を余弦波、正弦波および直流 成分の和で表したが、その場合、それぞれのnについて 余弦波と正弦波を独立に扱わなくてはならず、扱いが少し 煩雑であった。そこで、三角関数の合成を用いた場合に は.フーリエ係数(Xn)は一つになったものの、その副産物 として、位相項θnを取り扱う必要が生じた。つまり、任 意の波形を取り扱う場合、一つの周波数について、大きさ と位相という、二つの独立な変数をどうしても取り扱う必 要があるのである。そこで次に、大きさと位相遅れを一度 に表現して、簡略化した表現とすることを考える。これが 複素フーリエ級数であるが、これを用いることによって、 見通しのよい表現形式を得ることができる。オイラーの公 式によれば複素正弦関数は、

である。ここで、jは虚数単位である。複素正弦関数の値 は、図-5のように実数軸と虚数軸で表された単位円上の 角度θ回転した点として考えるとイメージしやすい。
 複素制限関数と余弦関数、正弦関数との関係は、

と表される(ド・モアブルの公式)。これを念頭に式(4)を 変形すると、

となり、非常に簡略化された形で表現できることとなる。 求めるべき係数の種類はcnが1種類となり、しかも初項 a0/2が消えているので、正弦・余弦関数を使った変換式 に比べて、かなり簡略化された表現となっている(未知係 数の重ね合わせが-∞から+∞となっているので、求める べき情報の総数は変わっていないことに注意)。
 以上をまとめると、次のようになる。

 複素フーリエ級数展開は、簡略化した表現が可能である 反面、nとしてマイナス無限大からプラス無限大までを扱 う必要がある。これも物理現象として対応させて考える と、実現象としてイメージしにくい負の周波数領域を扱わ なければならない。そこで、負の周波数領域の係数がどの ようになるかを考えてみる。式(11B)より、cn、c-nを具 体的に書いてみると、

となる(図-6)。両式で異なっているのは、積分記号中の指 数関数が の部分であり、それらは互いに複 素共役の関係になっている。原関数x(t)が実数である場 合(観測データなど現実世界の現象はほとんどすべてが実 数で表される)、cn、c-nは互いに複素共役の関係にあるこ とがわかる。したがって、実際にはnが非負(ゼロまたは ブラス)の場合の係数を求めておいて、負の周波数領域で は、それらの複素共役を形式的に考えておけばよいことに なる。逆に、式(10)を後ろからたどっていけば、cn、 c-n のニつセットで原関数x(t)の1周波数を構成することに よって、原関数を実数として実現しているとみることがで きる。すなわち、一つの周波数成分における大きさと位相 を両方とも表現するために複素数を用いたけれども、実数 である原関数を再構成するためには互いに複素共役の関係 となる二つの周波数成分が必要であると解釈してよい。


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