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加湿と除湿(6)
除湿の応用―デシカント空調


桑原 哲新日本空調(株) 正会員
平岡 貢東京ガス(株) 正会員
大塚則男東京ガス(株)
〔監修:千葉孝男 特別会員
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キーワード:減湿装置(Dehumidfiers)、空気調和機(Air Conditioners)、除湿剤(Desiccant)、 吸着(Adsorption)、相対湿度(Relative Humidity)

はじめに

 この講座の第4回、第5回で、除湿の原理と、これらの 原理を利用した除湿機をいろいろ紹介し、また試験室、倉 庫など室内空気を低湿度に保つことを主な目的とした除湿 機の応用例を示した。
 このような除湿装置を使った身近な例として、のり(海 苔)やせんべいの箱に乾燥剤の袋を入れるのも広い意味で 除湿システムである。最近、この除湿機がビルの一般空調 にも利用されるようになっており、デシカント空調と呼ば れて脚光を浴び始めている。
 ビル空調に使用するときは、袋に除湿剤を詰めて行うわ けではないが、水分を除湿剤に吸着させるという原理は全 く同じである。水分を吸着した除湿剤は、除湿能力が低下 するので、加熱することにより、空気中に水分を蒸発させ 再生する。この動作を連続して行うことにより、空調を行 うシステムがデシカント空調である。

1.デシカント空調の概念

 デシカント空調は、除湿剤(desiccant)を用い潜熱を処 理する空調である。これまでは前回述べたように主に産業 空調において利用されていたが、最近では保健空調へも利 用されるようになってきた。
 除湿剤には本講座(4)で説明したシリカゲル、ゼオライ ト、活性炭、活性アルミナなどが使用される。ETS( Engelhard Titanium Silicate)と呼ばれるゼオライト系の除湿剤 は、吸着性能が優れており、また60℃程度の温度で再生 できる利点を持つが、シリカゲルより高価である。いずれ にしても除湿剤は、耐久性や再生温度などの条件を考慮し て選択されることになる。
 デシ力ント空調の利点を次に示す。
 1)
 環境負荷低減効果が期待できる:省エネルギー性の 高い空調システムである。フロンを使用しないシステ ムを構築可能であるので、オゾン層破壊防止にも貢献 できる。
 2)
 排熱が利用できる:未利用温排熱を除湿剤の再生に 利用できる。最近徐々に普及し始めているマイクロガ スターピンや小型燃料電池の排熱利用先として有望で ある。
 3)
 高温低湿の給気を行える:乾燥した空気〔28℃ (DB)、30%(RH)程度〕を送風できるため、じっとり とした冷たさを感じることなく快適な温熱環境を実現 できる。人間が、湿度が低ければ多少温度が高くても 快適と感じる特性を利用している。
 4)
 空調ダクト内の細菌繁殖を防止できる:一般の空調 方式(冷水コイルによる冷房システム)では、ダクト内 の相対湿度が高いため、細菌の温床となる。1gのダ クト内付着粒子に約42000個もの真菌が存在してい たという実測データがある。一方、デシカント空調機 からの送風空気は、低湿度であるため、菌類の繁殖防 止や滅菌に効果がある。

2.基本原理

 比較のために、まず、図-1に冷水コイルを使った一般 的な冷房システムにおける空気の状態変化を示す。この過 程では空気は冷却されるとともに減湿する。@冷却前の空 気がA冷水コイルにより冷却されると・空気中に含まれて いる水分は飽和状態に達し、水滴として除去される。B冷 却後の空気は、低温・高相対湿度〔16℃(DB)、90%(RH) 程度〕となる。この空気を室内に送風し冷房する。
 一方、デシカント空調機では、図-2に示すように、冷 却減湿とは大きく異なった空気の状態変化となる。@除湿 剤入口の空気に含まれる水分は、A除湿剤に吸着され湿度 が低下する。このとき、除湿剤は発熱し通過空気の温度が 上昇する。B除湿剤出口の空気は高温・低湿度〔45〜50℃ (DB)、10〜15%(RH)程度〕となる。このままでは、温度 が高すぎて室内に吹き出せないので、下記のいずれか、あ るいは併用により温度を下げ給気する。
 1) 室内からの排気と熱交換
 2) 室内空気との混合
 3) 冷水コイルによる顕熱冷却
 4) 水噴霧による加湿冷却


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