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加湿と除湿(3) 加湿の原理と実際(その2)
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キーワード:加湿装置(Humidifying Device),加湿器(Humidifier),結露(Vapor Condensation)
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5.加湿装置の構造と特徴 前報4.でいろいろな加湿方式ごとに原理を説明した が,本項では,具体的な加湿装置の構造などの特徴を述べ る。加湿方式ごとの加湿装置の一覧表を表-1に示す。
蒸気加湿は,無菌で,不純物を放出せず,加湿により温 度降下がないという特徴があり,構造的には蒸気発生装置 を持つ蒸気発生器と,持たない蒸気加湿器に大きく分けら れる。 (1)蒸気発生器 蒸気発生器は,主として蒸発槽(タンク)内に 1) ヒータを設置した電熱式 2) 電極を設置した電極式 3) 空調機内の蒸発皿(バン)にヒータを設置したバン型 加湿器 などがある。 いずれの方式も,水を蒸発させるために電気を使用し て,制御性がよいという利点と運転費が他の方式よりも高 くなるという欠点を併せ持つ。 また,水に溶け込んでいた不純物が蒸気に混入すること はないが,タンクあるいはバンに不純物が残り,徐々に濃 縮されるため,定期的にブローするなどして不純物を取り 除く必要がある。その際,一時的に制御性が悪くなる。 a 電熱式蒸気発生器 タンク中に設置された電気ヒータで水を加熱・沸騰させ て蒸気を発生させる加湿器である。図-16に構造を示す。 タンク内の水位を所定の位置に保つために,フロート弁を 用いて吸水し,蒸発タンク内のスケール析出・付着を防止 するために,洗浄電磁弁・排水電磁弁からなる自動ブロー 装置を設けている。
電気ヒータの代わりに電極を用い,電極間の水の電気抵 抗を利用して電流を流し,水中で直接電気を熱に変換し加 熱・沸騰させ,蒸気を発生させる加湿器である。図-17 に,電熱式蒸気発生器の構造を示す。 蒸発により水が少なくなると水位が低下し,抵抗値が増 すため電流が流れにくくなる。この電極間の電流値の検出 により水位を測り,必要な水を補給する。また,同一の水 の蒸発を続けると不純物濃度が高くなり,水位が低くても 電流値が大きくなり,給水を必要としないという誤った状 態となる。そのため,この電流値が規定以上になると排水 弁が作動し排水を行い,新たな水を供給する自動ブロー装 置を付けている。 電極式加湿器は水がなくなると電気が流れなくなるた め,過熱などの火災上の安全性に秀でている。
図-18に,バン型加湿器の概略図を示す。パン内のヒー タで沸騰・蒸発させ,蒸気を発生させる装置である。 スケール析出・付着により,フロートが動作しにくくな ることを防ぐため,電極式蒸気発生器と同様に,水を入れ 替える自動ブロー装置が必要となる。また,沸騰による微 小湯滴の飛散・付着による腐食を防ぐため,湯滴が外部に 飛散するのを防止するため,気液分離の構造としている。
蒸気ボイラなどで製造された蒸気を用いて加湿する方式 を蒸気加湿器という。 a 二重管式 蒸気を直接噴霧する場合,蒸気管を空調機内に入れ,管 に開けた小さな孔から蒸気を噴射すればよいが,実際には 管内で蒸気が冷えて生じた凝縮水が蒸気の噴射を妨げ,加 湿できなくなる。そこで,蒸気から凝縮水を分離した乾き 蒸気の状態で吹き出すために,供給管を二重にし,まず外 側の管に蒸気を通し内側の管を暖め,その結果発生した凝 縮水をドレントラップで排出し,蒸気のみを内側のスプ レーノズルに導き,乾き蒸気を噴霧する。図-19に,二重 管式の蒸気加湿器の概略図を示す。
蒸気ボイラでは,水処理装置として軟水器を使用するこ とが多く,軟水処理をした蒸気を直接空調空気中に吹き出 して加湿に用いると,人体などにいろいろな障害になるの で,高圧の蒸気を用いて低圧の蒸気を発生させて加湿を行 う。パン型蒸気発生器の電気ヒータを蒸気管に代えたも の。タンク内に蒸気を供給し,タンクから低圧の蒸気を発 生させて加湿を行う。 5.2 水噴霧加湿の装置 水噴霧加湿は,加湿に要するエネルギーを周囲の空気か ら奪うために,加湿による空気温度の降下を見込み,その 分だけ予熱しておく必要がある。また.加湿用の水を直接 空気中に放出するので,水中の不純物・菌・殺菌用遊離塩 酸などが空気中に放出されるという欠点を持つ。そのた め,使用場所に応じて供給水の水質,菌の繁殖,ドレンの たまる部位のカビ発生などを十分検討する必要がある。ま た,そのために軟水器・純水器などの水処理装置が必要と なる。 水噴霧加湿装置としては,下記などがある。 1) 高圧の水をノズルから噴霧する方式 2) モータの遠心力により水を霧状にして噴霧する方式 3) 超音波の振動により水を霧状にする方式 a 高圧スプレー加湿器 給水を加圧して,空調機内に組み込まれた直径0.2mm 程度のノズルから水と圧縮空気を同時に吹出し噴露し加湿 を行う。 空気圧は0.5〜10.0kPa程度で,圧力が高いほど水の噴 霧径は小さくなる。加湿量に応じてノズルを複数個設置す る。噴霧径は比較的だ大きく,すべてが気化することがない ため,ドレンを処置する必要がある。ドレン量は給水量の 約半分程度になる。 図-20に,高圧スプレー加湿器の概略図を示す。加圧ポ ンプ,給水管およびノズルから構成される。スプレーの発 生音が大きいこと,圧縮機が必要なこと,ノズルの目詰ま り,ON-OFF時の水滴落下など,考慮しなければならな い点が多々ある。
高速に回転する回転盤に水を供給すると,水は円盤上を 薄膜となって円盤端部に流出する。この薄膜となった水が 円盤を囲むエリミネータに衝突し微細な霧状になり,空 気中に分散する。 ノズルを必要としないので.目詰まりの心配がなく,噴 霧水滴の径も小さくでき,空気と混合して吹き出すためよ く蒸発し,通常,吹出し直後に水滴が落下することはほと んどない。 このため,工場などの加湿量が多く必要となるところで 多く使用されている。加湿器としては,空調機に組み込ま れるよりも,室内に直接噴霧する加湿器として使われるこ とが多い。 図-21に概略図を示すが,回転する円盤,エリミネー タ,そして給水管から構成される。回転体の軸受けは密封 タイプが使用され,20 000から30 000時間程度で交換が 必要となる。また1回/月程度の定期清掃が必要となる。
かつて主流となっていた加湿器である。 ある範囲の超音波発生源としてセラミック系の振動子を 水面下数cmに設置し,超音波振動により水の表面に噴水 状の水柱が形成され,その先端部から水が霧化し,霧状の 水が散布される。噴霧される霧の流径は非常に小さく,空 気中で蒸発しやすく吸収されやすい。消費電力も小さいこ とから,加湿器としては非常に便利で,室内用,空調機用 として多く用いられてきた。 図‐22に,概略図を示す。本体中にタンクがあり,その なかに超音波を発生する振動子が設置されている。なお, 振動子は水あかやカビなどの付着に弱く,付着すると加湿 量が減少するだけでなく,破損の原因ともなる。振動子の 交換・清掃などの保守管理に留意する必要がある。 また,この方式でも給水中の不純物が同時に噴霧される ために水処理が必要なことから,後述の気化式加湿器に 取って代わられた。
水噴霧加湿の一種であるが,水滴を空気中で蒸発させる のではなく,吸水材のぬれ表面上で蒸発させ加湿する。そ の際,給水量のすべてが加湿に使われるわけではなく,一 部が蒸発するだけで,水中の不純物の大部分はドレンとし て排出され,蒸気中には含まれない。そのため,クリーン な加湿が可能となる。 前述の電熱式や電極式の蒸気加湿装置と比較し,消費電 力が少ないという特徴がある。 ただし,水を加熱せずに用いるため,夜間停止時や夏期 に微生物が発生し,加湿器からにおいを発するなどの現象 がしばしば起こる。吸水材に抗菌効果を持たせるなどの改 良が加えられているが,例えば,病院などでは加熱する方 式の加湿器しか使用できないなど,使用場所に制限が加え られている。 気化加湿装置としては, 1) タンク内に給水し,円盤状の吸水材を回転させ加湿 する方式 2) 吸水材の上から滴下して加湿する方式 が代表的である。他に浸透膜式や毛細管方式などもある。 エアワッシャ方式は,吸水材を使わないが散水される大 粒の水の表面で蒸発させることから,気化方式の一つと見 なされている。 a 回転式加湿器 回転式加湿器は,タンクと回転する吸水材から構成さ れ,給水板の一部を水と接触するように回転させ,その給 水板の表面で水を蒸発させる。図-23に,回転式の気化式 加湿器の概略図を示す。
滴下式加湿器は,吸水材と上部から滴下する給水管から 構成され,空調機組込み用として多く採用されている。吸 水材としては,不織布・セラミックベーパなどが用いられ ている。 給水量は,必要加湿量とスケールを流す量が供給される が,その量は非常に少ない。少量の水を調整しながら分布 よく滴下することが回転式より困難であったために遅れて 出てきたと考えられる。 図‐24に,滴下式の気化式加湿器の概略図を示す。
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