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加湿と除湿 (2)加湿の原理と実際(その1) 伊東民雄 高砂熱学工業葛Z術本部 正会員 西村浩一 高砂熱学工業鞄結椁{店 正会員 |
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キーワード:加湿(Humidification),温感(Thermal Comfort),加湿方法(Method of Humidification)
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はじめに ビル管理法で規定されている暖房時の室内相対湿度 40〜70%を維持しているビルは,非常に少ないのでは。 その結果,のどがいがいがするとか,ホテルの客室に入 ろうとドアのノブに手を掛けると"ぴりっ"とくるというよ うに,"静電気が悪さする"などの苦情が寄せられているの ではないだろうか。ー方,建物によっては相対湿度は規定 どおりに維持できているが,窓に結露して曇っていると か,それほど加湿がうまくいっていないのが実情と思われ る。 本講座では,"人間にとっで快適な湿度とは・・・・・・"などか ら,加湿の必要性を示し,およびさまざまな加湿方式の変 遷,特徴を述べ,最終的に実際的な加湿装置や加湿の問題 点について,2回にわたり解説する。 1.加湿の必要性 室内の湿度を適切な値に保つことは,快適な室内温熱環 境をつくり出し,あるいはウィルス感染を防止するといっ た,健康的な空気環境の維持に必要であり,また美術品の 損傷や劣化を防止し,工場の製造過程での不良品の発生抑 制などに重要である。 1.1 快適感と加湿 (1)人体の熱バランスと湿度 人間に快適な温熱環境を考えるうえで,人体表面での熱 バランスが重要になる。人体表面からの熱の移動は,対流 や放射のように温度差によるものと,発汗・蒸発のように 水蒸気分圧差により熱移動量が決まるものに分けることが できる。水蒸気分圧差による熱の移動は,当然空気の湿度 に大きく影響される(図-1)。 人体を食料をエネルギー源とする内燃機関(エンジン)と 考えると,生命を維持し,生活し,労働をするために消費 されたエネルギーは,常に人体から熱として放出されなけ ればならない。一般的な快適状態では,人間の体の中心の 温度は38℃,平均皮膚温度は33℃程度で,その際の空気 温度は25℃前後とかなり低い温度といえる。快適な空気 温度の範囲では,エンジンの発生熱量と温度差による放出 熱量と,蒸発による放出熱量の間でバランスが取れてい る。しかし,空気温度が高くなると,温度差による放熱が 少なくなり,そのままでは体温が上昇してしまう。そこで 放出しきれなかった熱は,皮膚表面から水蒸気分圧差によ り放出する必要が生じる。そのために,沢山汗をかいて, 蒸発により熱を放出する。 反対に空気温度が低くなると,発汗作用を抑え,蒸発に よる熱放出を少なくし,体温低下を防ぐこととなる。
以上述べたように,快適な空気温度の範囲では,人体の 表面ではほとんど発汗が感じられず,水蒸気分圧差による 熱の移動が少ないようにも思われるが,実際には温度差に よるものの約1/3程度の熱の放出が蒸発によって行われて いる。しかし,快適な温度域では温度に対する感覚と比べ た場合,湿度に対する感覚はそれほど敏感ではないようで ある。 図‐21)は,一般に快適といわれる温熱環境の範囲を空気 線図上に示したものである。快適感には,季節変動がある と指摘されているが,温度の幅は夏と冬でそれぞれ3〜4 ℃と比較的小さいが,湿度は20〜70%と範囲が非常に大 きい。このようなことから,湿度についてはあまり言及さ れないことが多い。 普通の生活をしている人にとっての"快適な湿度"という ことでまとめると,加湿が必要なことは認識されている が,快適な温度の範囲では,人間の感覚として鈍感なとこ ろがあるようで,温度の制御に比べると,湿度の制御はそ れほど重要視されない。それが,前報で述べたように,湿 度センサにそれほどの精度が要求されない理由であり,ま た,湿度調整がおろそかになる大きな要因になっている。
図-32)に,空気中の微生物や化学物質の人間の健康に与 える影響と,最適な湿度範囲を示す。インフルエンザは, 冬期に外気の絶対湿度が5〜10g/kg(DA)以下になると流 行が始まるといわれている。図からわかるように,室内の 相対湿度が50%以上では,インフルエンザウイルスが生 存できなくなり,結果的にインフルエンザの予防効果が高 まると考えられる。そこで,冬の外気温度が下がった場合 に室内を加湿することで,インフルエンザの予防ができる といわれている。ほかにも図に示すとおり,相対湿度 30〜60%の範囲では,バクテリアの発生や呼吸器系疾 患・各種アレルギーの発症も起こりにくいため,適度な加 湿が必要となる。
前述したように,冬にドアノブに触ると静電気による不 快感を経験するが,この静電気も湿度に深くかかわりがあ る。湿度の多少にかかわらず静電気は発生するが,空気中 の水分が多ければ,大気中に静電気が逃げるために静電気 の影響が少なく,低湿度のときには静電気が起こりやす く,その影響が大きく現れる。 この静電気による影響は,精密機器や機械の製造にとっ ては,より深刻な問題になっている。半導体製造工程で は,湿度が低いと帯電による製造装置の故障や製品へのじ んあい(塵埃)の付着などの問題が発生する。そのために, 除電装置の設置はもちろん,適切な加湿による湿度調整が 重要となる。 1.4 食品貯蔵と湿度 加湿は,人間の住む空間だけではなく,食物の貯蔵・冷 凍などの場合にも必要となることがある。 野菜や花の貯蔵にあたっては,その含水率を保持し,生 鮮度や風味を保つために適度な湿度を維持する必要があ り,そのために加湿が重要になる。特に,低温貯蔵庫で肉 などを保存し,またその熟成を進めるときには,色の変化 や風味に湿度が大きな影響を及ぼす。また,肉は含水率75 %程度であるが,湿度がうまくコントロールされていな いと目減りの原因となる。 低温貯蔵庫のような低温の環境を確保するためには冷却 が必要になるが,冷却と同時に除湿が進行する。保管品に よっては,その品質を維持するため加湿が必要となる。 |
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