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2.湿り空気の湿度表示
 湿り空気中の水蒸気量すなわち湿度の表し方は、大きく 以下の三つに分類できる。
 1) 絶対値: 水蒸気の量を直接表示
水蒸気分圧P[kPa]、絶対湿度x[kg/kg(DA)]
 2) 相対値: 水蒸気の飽和の程度を表示
相対湿度[%]、比較湿度[%]
 3) その他: 温度で代用表示、最終的には絶対値・相対値を導く。
湿球温度t[℃]、露点温度t[℃]
 空調では、空気中に含まれる水蒸気の量を乾き空気1 kg/kg(DA)あたりの質量割合[kg/kg(DA)]として表現す る絶対湿度x(Humidity Ratio)が用いられている。この乾 き空気1kgを基準としていることを示すために、特に単 位の記号として"kg(DA)"を用いている。
 物理学などでは、絶対湿度h(Absolute Humidity)は体 積1m3中の水蒸気量"kg"を、相対湿度(Relative Humid ity)は体積1m3中に含まれる水蒸気質量とその温度にお ける飽和水蒸気質量との百分率比[%]、すなわち"絶対湿 度h/飽和絶対湿度ha、sの百分率比"を示している。しか しながら絶対湿度hは、ベースの体積が温度によって大 きく変化するので、空調では計算上都合が悪いので使われ ない。
 同様に、湿度の相対表示法の一つとしての比較湿度 、 "絶対湿度x/飽和絶対湿度xの百分率比"も使用できる が、空調では気象データを用い、また測定機器もそれらに 準じており、気象学上の定義の"蒸気圧とそのときの気温 における水の飽和蒸気圧の百分率比"、すなわち相対湿度 を用いている。

2.1 水蒸気分圧と飽和水蒸気圧
 湿り空気を理想気体としての乾き空気と水蒸気の混合気 体とみなすと、"湿り空気の圧力はドルトンの法則に従 い、乾き空気の圧力と水蒸気の圧力の和に等しい"、いい 換えると"水蒸気分圧で水蒸気量を、すなわち湿度"を表す こともできる。
 図‐2で定義される1)空気中の水蒸気分圧Pと飽和水蒸 気圧Pwsが以下の関係にあるとき、空気は
 1) 水蒸気分圧P<飽和水蒸気圧Pws→不飽和空気
 2) 水蒸気分圧P=飽和水蒸気圧Pws→飽和空気
 3) 水蒸気分圧P=0→乾き空気
ということができる。
 水蒸気圧は昔からデータがそろっており、湿度を質量で 表すよりも便利なことからしばしば利用され、また他の湿 度表示法に変換するときにも必ず用いられる。飽和水蒸気 圧は、1981年ASHRAE Handbook2)に載っているNBSの Wexler-Hylandの計算式を用いて求めることができる。 なお、本学会便覧"基礎編"3)には表が示されている。

2.2 絶対湿度
 前述したように空調では、絶対湿度xを利用し、その 際、乾き空気は絶対湿度x=0の状態をいう。物理学でい う本来の絶対湿度hとは、定義も値も異なるので注意が 必要である。図-3に両者の比較を示す。
 (1) 絶対湿度x
 湿り空気の絶対湿度xは、ダルトンの法則と上記の定義 から次の式で表される。絶対湿度は、空気中の水蒸気量を 質量で表しているため、加湿や除湿の量の計算などに用い られる。

ここで、
 x :絶対湿度  [kg/kg(DA)]
 P :湿り空気の全圧力  [kPa]
 P:乾き空気分圧  [kPa]
 P:水蒸気分圧  [kPa]
 M:乾き空気の見かけの分子量  [=28.96kg(DA)/kmol]
 M:水蒸気の分子量  (=18.01kg/kmol)
この絶対湿度hは、湿り空気1m3中の水蒸気量"kg"を 表す。

ここで、
 h:絶対湿度  [kg/m3]
 P:水蒸気分圧  [kPa]
 P:大気圧  [kPa]
 ただし、気体の膨張係数0.003 66℃-1、標準状態の 水蒸気の密度0.804 kg/m3

2.3 相対湿度
 湿り空気は、そのなかの水蒸気の圧力が飽和蒸気圧より 低ければ、飽和蒸気圧に達するまで水蒸気を含むことがで きる。そこで、空気中の水蒸気の量を示す度合い、すなわ ち湿度として、"飽和水蒸気圧に対して、空気中の水蒸気 分圧がどの割合[%]となるかを圧力比で示したのが相対湿 度"である。相対湿度=0%は乾き空気、相対湿度= 100%は飽和空気である。
 相対湿度は、以下の式で求める。

ここで、
 :相対湿度  [%]
 P:水蒸気分圧  [kPa]
 Pws:同じ温度の飽和空気の水蒸気分圧  [kPa]
 また、絶対湿度hから相対湿度を次の式で求めるこ とができる(図-3)。

ここで、
 has:飽和水蒸気の絶対湿度  [kg/m3]
 相対湿度は、テレビの天気予報などでもしょっちゅ う耳にするなじみが深い湿度の単位で、人間の快適感に とっても重要な値である。そこで、空気調和設備の設計条 件なども相対湿度で表されることが多い。

2.4 比較湿度(飽和度)
 ある温度の空気の絶対湿度xと、それと同じ温度の飽和 空気の絶対湿度Xsとの割合[%]を示す値を比較湿度また は飽和度という。比較湿度=0%は乾き空気を、比較湿 度=100%は飽和空気を表している。
 比較湿度は、下式で求める(図-3)。

 比較湿度は相対湿度とほぼ同じ値を示すが、正確には相 対湿度とは異なる。なお、空調では、比較湿度が用いられ ることはほとんどない。

2.5 湿球温度
 湿式温度tは、実用的には温度計の感温部(アルコール や水銀のたまり部)を湿ったガーゼなどで覆った乾湿球温 度計やアスマン温湿度計などの湿球の温度を表す。
 湿球温度を正確に説明する。図-4に示すような周りを 断熱して外から熱の出入りのない長い管の中に空気を流 し、他方管の下には水があるものを考える。流れる空気の 温度より水の温度が低いと、熱伝達によって空気から水に 熱が伝えられて水の一部が蒸発し、他方空気は温度が下が り、湿度が上がって行き、長い管の中を流れている間につ いには飽和空気になる。この間、水は大量にあって温度が 変化しないものとすると、空気の温度も水温と同じにな る。この温度を熱力学的飽和温度といい、これが正確な意 味での湿球温度の定義である。
 この状態変化を熱的にみてみると、この装置と外部の間 では熱の出入りがなく、空気の熱の一部を利用して少量の 水が蒸発しているので、次の式が成り立つことがわかる。

ここで、
 h、x:  流入空気の比エンタルピーおよび絶対湿度
 h'、x':飽和空気の比エンタルピーおよび絶対湿度
 h:   水の比エンタルピー
 上の式の右辺は、もともと蒸発した温度tの水分が 持っていた熱量(エンタルピー)が、空気中に新たに持ち込 まれ、その分だけ空気の比エンタルピーが増したことを表 している。
 図-5に、乾球温度と湿球温度が何を示すかを具体的に 説明した。
 乾球温度は、空気温度と周りの壁表面温度の影響を受け るが、風速を早めて乾球の対流熱伝達率を大きくし、近似 的に空気温度のみを示すとみなしている。
 また湿球温度は、飽和蒸気圧と水蒸気圧との差で起こる 蒸発により低下した温度を示している。すなわち、湿球温 度は、上にも述べたように空気が多量の水と接触しながら 流れ、湿球温度と同じ温度の水から絶えず空気に水蒸気が 供給され、水と同じ温度の飽和空気になって出てきた飽和 空気の温度を示す。
 湿球温度は、主として湿りコイルや冷却塔などのよう に、水分と熱の同時移動が伴う場合に、計算が容易なこと から設計条件として用いられることが多い。

2.6 露点湿度
 冬の寒い日に電車の中で子どもが窓ガラスに息を吹き付 けて曇らせ、指でその上にいたずら書きをしているのを見 ることがある。息を吹き付けてガラスが曇り始めるとき の、冷えた空気の温度が露点温度である。すなわち露点温 度tは、空気中の水蒸気が結露する温度、空気中の水蒸 気分圧Pと等しい飽和水蒸気分圧Pwsを持つ飽和空気の 温度をいう。
 湿度の測定では、霧点温度を測定する方法が最も精度が よい。そのため、露点温度を計り、その値から相対湿度な どの別の形で表した湿度を求めることが多い。
 通常は、露点温度と乾球温度から飽和水蒸気分圧を求 め、他の湿度表示に変換する。図‐6にいろいろな湿度の 表し方の間の関係を示す。
 ガラスや壁の温度が露点温度以下になると、水蒸気が凝 縮を始めるため、露点温度は特に結露発生の有無の判断に 重要な指標となる。


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