学会誌・論文集 トップへ

2/5

2.ESCOとは(その仕組み)
 ESCOスキームの特徴は、以下の三つの節に述る。
2.1 省エネルギー改修後の効果(メリット)を保証すること
 省エネルギーシステムの導入に際して、一股的に行われ ているのは事前の効果予測であり、その導入後の実績が評 価されることは、それが容易ではないこともあって、決し て多くはない。ようやく最近になってコミッショニングの 重要性が指摘されるようになったが、建設業の会社組織と して考えると、工事部隊の機能は基本的には"つくるまで" であり、かし(瑕疵)担保期間の終了とともに当該物件に関 する関心は"保全センター"に移管される。残念ながら、保 全センターはクレーム処理機関であることが多く、前向き な位置づけがなされている会社は少ない。
 ESCOがその意味で差別化できているのは、10年程度 の契約期間を通じて"省エネルギー効果を保証しているこ と"である。従来の建設業にとって、"長期保証契約"は社 風として容易ではないというのが、筆者が取材した多くの 建設業界の方々の共通認識であった。

2.2 光熱費の削減金額で、削減に要する費用を賄うこと(図-1)
 省エネルギー投資の評価は、一般に"投資回収年数"で実 施される。しかしながら、ESCOの事業スキームでは、省 エネルギー投資を年経費化した金額が省エネルギー効果を 下回るか否かで判断する。米国では、省エネルギー改修に 要する工事費をESCO会社が負担して顧客から延べ払い で回収する方法を"シェアードセイビングス方式"と呼 び、初期投資を顧客が負担しESCO会社が効果保証を提 供する方式を"ギャランティードセイビングス方式"と呼ん でいる(図-2)。驚いたことに、これらの単語はそのまま日 本で使われ始めている。
 筆者には、ギャランティードセイビングス方式でESCO 会社に"効果保証をしてもらうための料金"を支払う顧客が 多く存在するとは思えないのであるが、ESCO推進協議会 の会員アンケートによれば、2000年度のESCO会社の売 上のうち約6割がギャランティードセイビングス方式(施 主による資金調達)であった。なお、顧客の立場で注意す べきことは、ギャランティードセイビングスに名を借り た悪質な省エネルギー機器販売会社であり、彼らはESCO 普及の障害にもなりかねない。

2.3 診断・計画・設計・施工・分析検証について一括して責任を取ること(図-3)
 公共工事における設計・施工の分離がいわれて久しい が、民間物件では設計施工に根強い支持がある。また、特 にリニューアル工事においては、"元施工(前施工)会社"に 対する施主の信頼は一般的には厚い。有償無償はともかく として、契約上のかし担保期間にこだわらずに、建物のラ イフサイクルを通じた"実質的な保証"を暗黙のうちに要求 しているビルオーナーも存在する。このように、やはりビ ルオーナーの本音のニーズは限定的なサービスの組合せで はなく、包括的なサービスにあるのではないだろうか。問 題はコストと効果である。


このページの先頭に戻る