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2.施設管理に対する期待

 建設白書(平成12年版)では、"今世紀は、ストック・メ ンテナンスの世紀である"としている。建設市場全体の元 請完成上事高に占める維持工事・修繕工事の金額と割合は 13兆4千億、17.5%(平成10年度)になり・政策的観点に 立った具体的対策の一つとして、ライフサイクルコストの 重視を挙げている。建物の長寿命化が各段に進むと、50 年後には新築建物がゼロに近づくという研究結果もある。
 各地の自治体が、PFIによる建設手法を採用し始めてい る。これは始めから長期にわたる施設運営管理を想定して 建設を行うものである。PFIの基本的な考え方にバリュー フォーマネー(VFM)があり、VFMの基本式にも管理運営 コストが入っていて、建設時だけではなく、ライフサイク ルでの評価となっている。不動産証券化などでは、投資家 に対して、配当を維持するためにも施設管理の是非は問わ れることになる。このように、施設の維持管理が、個々の 建物で厳密に評価されることになる。
 施設管理の目標は、維持管理費用を極力セーブしながら も、建物資産価値の維持向上を月指すことである。また. 別のいい方をすると、建物性能(ビルパフォーマンス)をフ ルに発揮して、経済性(収益性)の向上や、利用者にとって の良好で安全な環境、使い勝手・業務効率の向上である。 この目標を達成することを期して、ライフサイクルマネジ メント(LCM)視点の重視、データに基づく科学的なアプ ローチ、そしてトータルな視点での建物経営への参画とい う三つを、施設管理に対する期待として想定している。
 1)
 ライフサイクルマネジメント(LCM)視点で貫く業 務遂行:建物のライフサイクル(LC)を想定した維持 管理計画を立案し、常に管理対象建物が現状どの経過 点にいるかを確認しながら、的確な判断ができるよう にすること。建物のライフサイクル各経過点での失施 すべきことを把握するために、図‐2のような、ライ フサイクル管理図の活用を推奨している。
 建物が建てられた時代的な背景の理解も重要で、社 会状況に対応した施設管理も必要である。建物機能要 求の時代的な変遷を、図-3で示す。
 オイルショック後の1970年後羊から1980年にかけ て、LCCが積極的に検討された足跡が残っている。 施設管理システムにおいては、省エネルギープログラ ムの開発も進められた。1980年代中期には、インテ リジェントビルが登場、建物に通信とアメニティ機能 を実装する試みが展開された。
 10年、20年と継続的に建物の状態を、フォローす ることが重要である。かつて、さまざまな省エネル ギー手法を備えた、いわゆる省エネルギービルが注目 されたが、現状追跡が実施されているケースは極端に 少ないように感じられる。一過性に終わらず、継続的 な評価が大切である。
 2)
 データに基づく、科学的な業務遂行:施設運営維持 管理上で蓄積されるデータや、公開されているデータ などを参照して、ベンチマークなどの手法で科学的に 評価しながら、施設の修繕と機能向上を実施するこ と。施設管理者の自己評価のみならず、第三者の評価 も受けながら、判断を関係者内で共有できるようにす る必要がある。故障に対応するという事後保全ではな い、データに基づいて建物に資金を有効に投入するよ うな、戦略的な施設管理が求められる。
 3)
 建物経営への参画:施設管理者は、建物経営の一翼 を担う者として自覚を持つ必要がある。一方、建物所 有者ら(施主、上位のマネジメントを含む)は、自社の 社員のように施設管理者を扱い、期待すべき目標と評 価を明示することで、プロとしての役割分担・相互依 存体制を築ける。建物所有者らと施設管理者との良好 なコミュニケーションができる環境整備が重要であ る。
 施設管理を担う業界に視線を移すと、施設管理の上位マ ネジメントに外資の参入があり、グローバルスタンダード を求められる。既存の事業者は、新たなビジネスモデルの 創造に迫られる。施設管理産業に、ポジティブフィード バックがかかるようにするためにも、前述の三つの期待を クリアすることが必要になるものと考える。


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