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施設管理の動向
―コミッショニングから設備改修へ
(3)施設管理手法の動向と事例


小出俊弘   山武ビルシステム褐、究開発部
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キーワード:建物性能(Building Performance)、ビルオートメーションシステム(Building Automation System: BAS)、ビルマネジメントシステム(Building Management System:BMS)、BEMS(Building Energy and Environment Management System)、WEBアクセスシステム(WEB-Accessible System)、 ビル群管理(Building Group Control and Management System)、ライフサイクルマネジメントシ ステム(Life Cycle Management:LCM)



 社会・経済システムのパラダイムシフトを受けて、 不動産市場が変わり、施設管理も変ぼう(貌)する兆し がみえてきている。施設管理業界のプレーヤたちの全 体像を概観し、業務内容を確認すると、専門家による 明確なミッションを持った分業の姿が、表出してきて いることがわかる。そんな状況下における、"施設管 理に対する建物経営感覚の積極導入"などの新たな期 待を確認できる。
 次に、施設管理システムの発展の経過をたどり、今 後の方向性として、WEBアクセスによる施設管理シ ステムの変化にスポットを当てる。新たな期待にこた えるため、建物性能(ビルバフオーマンス)を維持向上 させることができる、施設管理手法が望まれる。
 最後に、今後の展望として、施設管理手法革新のた めには、施設管理システム導入よる情報管理の推進と 人材教育の必要性を提唱するものである。


はじめに
 国内の不動産市場は、右肩上がりの時代が終了して、不 動産の証券化など、不動産ビジネスは大きくかつ急速な変 革を迎えている。不動産の所有は、過去においてはキャピ タルゲインを重視していたが、現在はインカムゲインを重 視するようになってきている。このように、社会・経済シ ステムのパラダイムシフトを受けて、不動産市場が変わり つつある。その変化は、建物所有者が、自らの建物を資産 として精査し、その資産を最大限に活用する動きとなって 現れる。建物は金融商品になり、高い利回りを継続できる 仕組みづくりが望まれることになるといっても、過言では ない時代に突入している。すなわち、建物経営そのもの が、問われる時代になり、施設管理の重要性が増してきて いる。
 このような状況において、まず施設管理業務をいわゆる 設備管理(ピルメンテナンス)より広い視野で、考察するこ とにする。施設管理業務のブレーヤたちを眺め、そのミッ ションを確認する。施設管理手法の変わって行くであろう 方向を示した後に、施設管理に対する期待を想定してみる ことにする。
 施設管理システムの経過をたどりながら、施設管理にシ ステム(ツール)は有益であったか振り返ってみたい。そし て、施設管理システムの今後の方向性を示してみたい。若 干の海外事例を含めて、施設管理用システムの先進的な導 入事例や地道な努力による特徴的な事例の紹介を行い、こ れらの事例による成果をとらえたい。最後に、施設管理に 対する期待にこたえる方策を探り、今後の展望とする。

1.施設管理業務
 施設管理、建物経営から不動産資産管理までの業務を分 類し、施設管理業務をビルメンテナンス、プロパティマネ ジメント、アセットマネジメント、そしてファシリティマ ネジメントに、分けて考えてみる。それらの業務の相互関 係と施設管理業務の全体像を概観する。それぞれの業務内 容に関しては、さまざまな考え方があるようだが.次のよ うに想定している。
 1)
 ビルメンテナンス(BM):設備管理、清掃、保安警 備の大きな三つの業務がある。設備管理業務は、建築 と設備の維持管理を行う実務的な業務で、日常業務 (運転、日常点検、小修繕)、定期点検・修繕業務に大 まかに分けられる。この業務なしでは、ビルは使用で きないし、建物利用者に対する最終的なアウトプット を提供する業務である。
 2)
 プロパティマネジメント(PM):ビルメンテナンス 業務とテナント誘致・管理などのテナント関連業務を 合わせ、建物施主のために、建物を総合的にマネジメ ントする業務である。PMの目標は、建物の資産価値 を維持向上させることである。国内では、設備管理、 清掃、保安警備の建物管理業務全般を実施する、いわ ゆる総合管理を、プロパティマネジメントとするケー スも見受けられる。
 3)
 アセットマネジメント(AM):不動産という資産で ある建物を、施主の代行として運営・管理を行う業務 である。プロパティマネジメント、デューデリジェン スなどの知識に、施主の不動産ポートフォリオの観点 から有効活用のためには、不動産の売買、または仲介 なども行う。長期修繕、リスク管理などの不動産経営 全般を行う専門業務である。
 本稿では、アセットマネジメントをプロパティマネ ジメントの上位業務として位置づけているが、ブロパ ティマネジメントとほぼ同等な機能を有するものとす る見方もある。
 4)
 ファシリティマネジメント(FM):米国国会図書館 の定義では、"物理的な職場環境を組織の人員・業務 と調整する機能である。それは、経営学・建築学・行 動科学・工学の原理を統合したものである"。
 最近では、働く場づくり(ワークプレイス)を中心に した、企業内(インハウス)のマネジメントと考えたほ うが適切な場合が多い。
 各々の業務機能の関連性をみてみると、図-1のように なると考えている。ビルメンテナンスを統括するプロバ ティマネジャーがいて、1人のプロパティマネジャーは幾 つかの建物の業務を行う。アセットマネジャーは、まさに 施主の代行であり、複数のプロパティマネジャーとそれぞ れの建物を共同して経営する。建物経営を行うプロパティ マネジャーは、自らの業務遂行に大きな影響があるため、 ビルメンテナンス事業者を選ぶことができる構図になって いる。それぞれは極めて専門性が高く、プロとしての仕事 が速やかに実施されることが期待される。そこで、専門の 知識とノウハウを組織知としている企業に、アウトソーシ ングされることになるだろう。サービスプロバイダ(提供 者)は、そのサービス内容の実施に関しては、実施細則の ようなサービスレベルアグリーメント(SLA)によって、品 質とコストの関係を明確にする仕組みがつくられる。
 建物の利用者による居住性能を評価をみてみよう。利用 者の満足度調査(Post 0ccupancy Evaluation:POE)など で、サービスの評価がきれる。ここでも双方向コミュニ ケーションが重視される。満足度調査は、定期的か、ある いは、施設の改修などの状況変化時に、適宜実施される。 最近では、ネットワークを活用した電子的な満足度調査を 実施するケースも出てきている。
 ここで、ビルメンテナンスの施設(設備)管理業務を中心 に、約20年を振り返り、そのマクロ変化を列挙する。
 1)
 オフィスに多量のOA機器が導入されたことなど による、快適環境性能に対する要求が高度なものと なった。
 2)
 先導的な建物による試みで、省エネルギーを中心と した環境保全活動が推進された。
 3)
 地域冷暖房(DHC)の普及で、大型建物の設備管理 では、比較的難易度の高い熱源運転からは開放され た。ただし、コージェネレーションなどの登場で、電 気・機械の総合技術が必要となってきている。
 4)
 設備機器は、効率やメンテナンスフリー性能が向 上。その反面、マイコン搭載で高度化された設備機器 は、ブラックボックス化が進み、故障時に臨機応変に 対応できないものとなった。緊急対応力の減少であ る。
 この変化は、設備機器などの施設管理の内なる要因によ るものである。前述したように施設管理は、不動産市場の 変化で、米国を中心とした海外の手法と整合を図るため、 外からの要因による大きな変化を迫られている。


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