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施設管理の動向 ―コミッショニングから設備改修へ (1)施設管理とコミッショニングの役割 中原信生 環境システック中原研究処 特別会員 |
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キーワード:コミッショニング(Commissioning)、施設管理(Facility Management)、設備改修(Renewal of Build
ing Services System)、性能契約(Performance Contracting)
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はじめに 景気動向や省エネルギー法の改正などの社会的背景に よって、建物施設管理に対する関心が高まっている。一方 で、建物の長寿命化・延命化技術の進展とLCC、LCAの 観点からのより高度な設備改修技術も増加している。これ らの動向を踏まえて、コミッショニング→施設管理(ファ シリティーマネジメント)→設備改修といったサイクルが 形成されつつある。本講座において、これまで本誌に紹介 され、あるいは実践されてきた技術動向や具体的手法をシ リーズとして総括的に紹介することとなった。 第1回めの本稿は、施設管理におけるコミッショニング の役割を取り挙げる。近年、建築設備の新築・改修時にお けるコミッショニングの重要性が注目されている。特に、 施設のライフサイクルの出発点といえる施設取得時におけ るコミッショニングの役割は、完成建物性能の原点性能を 規定するために極めて重要である。本シリーズ出発点とし て、本稿ではライフサイクル・施設管理・コミッショニン グをキーワードに、その意義の説明に始まり、歴史的展開 から未来への動向予測などを行うものである。 1.施設のライフサイクル管理 1.1 ライフサイクルの意義 ライフサイクルの意義について、今さら講釈する必要は ないほど、この言葉は聞き飽きるほど聞かされている。に もかかわらず、現実の建築生産・管理の場では、お題目に もならずほとんど生かされていないのではないかと推察さ れる。省エネルギー改修などで聞かされる話は、1年で回 収とか、長くてもせいぜい3年で資金回収ができなけれ ば、という話ばかりで、10年間での回収はおろか、設備 の法定耐用年数15年、実質耐用年数25年(例)などという と気が狂っているように受け取られかねない。確かに、低 金利では各種の資本回収係数の意義が少なくなるし、いつ 倒産するとも限らない企業経営状態では数年先のことはわ からない、という事情は理解できるが、逆に、そのような 長期的視野の不在こそが企業の存続性を危うくしていると いうこともいえるであろう。一応、言葉の意味からくる意 義について、一言述べておこう。ライフサイクルとは"誕 生から消滅にいたる変化過程"あるいは"製品の寿命"で あって、このようなニュアンスから、建物にあっては"使 われ方・住まわれ方の変化の過程、躯体や間仕切り、設備 の老朽化・性能劣化・陳腐化・故障不具合いなどの状態変 化に対応する調整・修理・更新の過程を経て、有効な寿命 を終えるにいたるライフタイム"と定義することができよ うo 1.2 ライフサイクル評価の精度向上 したがって、これは著しく予測の範囲を超えている。ほ ぼ確実なのは、建物・システムが存続するということ、こ れらの性能が変化するということであり、最も不確実なの は、建物の使われ方の予測(オーナー自体やテナントの変 遷も含めて)、システム劣化の程度の予想.そして(ライフ サイクル)コストに関していえば、経済情勢・経済指標の 予測であろう。 そのような情勢のなかで、施設管理を充実させ、システ ムの資産としての価値もエネルギー消費特性も確実に把握 する手段を講じておく、ということが少なくともこの部分 にかかわる予測制度を高める最良の方法である。その性能 保持・検証のためのコストは、当然負担しなければならな いが、性能劣化を見落としたことによる毎年の光熱水費の コストや修理費の大きさ、その予測誤差の大きさに伴う経 営戦略の誤りの重大さに比べれば得られる利益は計り知れ ないといえる。 そして、このような努力がテナントからの評価を獲得 し、建物資産価値を高め・貸しビルであれば賃貸料に影響 し、さらには、環境・エネルギーの視点からの企業評価を 高めて、上述の建物の使われ方の予測の精度をも向上させ る要因ともなるはずである。そうすれば・企業自体の存続 性も大いに精度が上がる。経済情勢・経済指標の評価につ いては、企業努力の枠外であるのでいかんともなし難い が、少なくともライフサイクルコスト計算においてあまり にも極端な利率設定を避けること、景気の循環要素を参入 した利率設定を行うことは避けなければならないし、時代 の変遷に合わせて、絶えず見直しを行い、当初設定を臨機 応変に修正することも必要であろう。 1.3 ライフサイクルコミッショニング/BOFDD 図‐1は、筆者がBOFDD(ビル最適化・故障検知診断) の国際研究1)〜3)において、概念整理と開発内容の位置づけ を行うために作成したライフサイクルコミッショニング/ BOFDDの構造である。BOFDDの前半BOは、後半FDD の機器レベルとサブシステム最適制御レベルの健康な運転 状況を前提にして、はじめて実現の資格があるもの、指標 はエネルギー原単位の極小化と環境満足度の極大化であ る。"資格がある"とのい(謂)いは、本来的に設計の質が規 定する枠を越え得ないからであるが、設計の改良を含めれ ば、それもまた最適化の範囲であるともいえよう。コミッ ショニングをライフサイクル視点で把握するとき、これを ライフサイクルコミッショニングと呼ぶ。そしてこれと BOFDDとは同一の体系のなかに記述されるが、BOFDD 特にその後半都のFDDはツールであり、コミッショニン グはプロセス・制度である。ツールは故障検知診断のみで なく、負荷やエネルギー予測あるいは制御として応用可能 であるが、それがコミッショニングのなかで体系化される とき、ビル最適化のツールとも性能検証のツールともな る。 強調すべきは、保守管理レベルにおけるライフサイクル システムの階層構造であり、要素機器の正常化の前提にお いて最適制御が成立し、最適制御の的確なアルゴリズムの 前提においてビル最適化が成り立ち得ること、しかしなが ら、それは設計性能の範囲内においてという限界があり、 設計にフォルトがあれば何の役にも立たないことにもなり かねない。それを大局的に検知するのは、エネルギーと環 境のマクロ性能であり、ここにBOFDDの手法にトップ ダウン法(経営管理者層からの視点)とボトムアップ法(保 守管理技術者層からの視点)とがある1)ことを予想させる。 このように、設計から運転管理にいたるBOFDDを完成 させることは、すなわち性能の最適化であり、それを達成 するには、設計フフォルトの発見から始めなければならな い。運転データから設計フォルトを発見するのは、あまり にもハイコスト・低効率である。ここに、図‐1に示すと ころのライフサイクルコミッショニング(生涯性能検証)の 必要性が明らかになる。
前述のような性能保持・検証のための制度・プロセス が、コミッショニングである。ここで、コミッショニング とは何かについて説明することとする。広く用いられる米 国暖房冷凍空調技術者協会(ASHRAE)による定義を以下 に示す4).5)。 "コミッショニングとは、それぞれのシステムに対し て、システムが設計趣旨に合致した性能を発揮するよう に、設計、施工ならびに機能試験が行われ、運転保守が 可能な状態であることを検証する過程のことである。本 指針において、性能検証は企画段階に始まり、それから 設計・施工・始動・受渡し・訓練の各段階を含む建物の 全使用期間(ライフ)にわたって適用され得るものであ る"。 筆者らが委員会活動において取り急ぎ作成した"建築設 備の性能検証(コミッショニング)基本指針(案)"6)において は、我が国のとるべき姿勢として、拡張した目的・意義を 設定し、これに対応して以下のように定義づけた。 "建築設備システムが建物の生涯にわたって、環境・ エネルギーならびに使いやすさの観点から、使用者に とって最適な状態に保たれるように、求めに応じて性能 を診断・検証し、必要に応じて、発注者・所有者あるい は使用者に性能改善法を提示することを目的とする。こ こに環境とは、第1に室内環境の健康・快適性の保持を いい、第2にエネルギーおよび排出物質を最小限にし て、地域・地球環境保全に貢献することを意味する。検 証の目的を全うするためには、これを建物の生涯にわ たって行うことが望ましい。この場合、それを生涯性能 検証(ライフサイクルコミッショニング)と呼ぶ"。 ヨーロッパでは、これまた国情と文化、建設慣行によっ てそれぞれコミッショニングの考え方も取組み姿勢も異な る。詳述する余裕はないので、文献7)を参照されたい (ただし、この文献は10年前のものであり、その後状況は 変わってきているところがある)。特に、IEA(国際エネル ギー機関)における一連のBEMS(ビル・エネルギー管理 システム)と関連づけたビルの省エネルギーツールの諸研 究の最先端に、このコミッショニングの研究があり(2001 年発足Annex-40、我が国も参加している)、EU諸国・北 米・アジア(日本・韓国)が参加して、2001年4月から正 式に活動を開始しているが、これがまとまるころには、制 度としてもツールとしても整備されることになり、国際規 格化への見通しが生まれようとしている。 |
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