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2.赤外線3波長式炎検知器 2.1 赤外線3波長式炎検知器の概要 前出の熱感知器や煙感知器が火災を検出するためには、 感知器が設置されているところに、 一定量以上の熱あるい は煙が到達する必要がある。このため、アトリウム、ドー ム、大型倉庫などの大空間がある建築物では、火災により 発生した熱や煙が感知器設置位置に到達するのに時間を要 したり、空間中に熱や煙が拡散することにより、温度や濃 度が低くなることから、早期に火災を検出できなくなる可 能性がある。また、石油化学プラントなどの屋外施設で も、外気などの気流の影響を受け、同様な可能性がある。 これに比べ、炎感知器は炎から放射される赤外線もしく は紫外線を検出する原理なので、気流の影響は受けにく い。しかし、炎から放射される赤外線や紫外線の強度は、 距離の2乗に反比例することから、従来の炎感知器の感度 には限界があり、大空間建築物での火災検出に制約があっ た。また、屋外で使用する場合は、自然光からの赤外線、 紫外線の影響も非火災報要因として考慮する必要がある。 ここで紹介する赤外線3波長式炎検知器は、炎から放射 される赤外線を三つの波長帯で検出し、高度な火災判断ア ルゴリズムにより自然光や人工照明との違いを確実に認識 することで、炎の選択性能が非常に高くなっており、非火 災報の発生を極めて少なくした、信頼性の高い炎検知器で ある。また、炎の選択性能が高いため、炎からの信号(S) とバックグランドノイズ信号(N)とのS/N比が大きく確 保でき、従来の炎感知器よりも感度が向上し、より長い距 離を監視することが可能になった。
主な特長は、以下に示すとおりである。 1) 従来の炎検知器と比べ、非常に高感度であるため、 監視距離が長くとれ、1台あたりの監視面積も広い。 2) 耐非火災報性能が高く、自然光や人工照明の下で非 火災報を出さないため、設置場所を選ばない。 3) 検知器試験機能を内蔵しており、遠隔から検知器の 機能試験を行うことができるため、高所に設置した場 合でも容易に試験できる。 4) 消耗部品や可動部がないため、部品交換の必要がな く、メンテナンス性に優れている。 5) 耐圧防爆構造であるため、防爆区域など危険な雰囲 気中でも使用できる。 2.3 赤外線3波長式炎検知器の検出原理 赤外線3波長式炎検知器の検出原理を説明する前に、ま ず炎の特徴について説明する。 炎から放射される赤外線には、顕著な特徴がある。 一つはCO2共鳴放射"といわれる現象である。 物質が燃焼するときに、多量のCO2が発生することは よく知られており、このCO2は近赤外線域の特有な波長 帯に二つの放射スペクトルのピークを示す。その一つは "灰色放射"と呼ばれ、一般に1.8μmをピークとして緩や かな山形となっている。これは、すす(煤)や炭素粒子から 出る赤外線放射の連続スペクトルである。これに対して、 "CO2共鳴放射"と呼ばれている4.4μmの波長でスパイク 状に立ち上がるピークがあり、一般的には、灰色放射より もCO2共鳴放射を検出して炎検知を行う。 CO2は、熱などのエネルギーを与えられると、安定なエ ネルギー状態(基底状態)からエネルギーの高い状態(励起 状態)になる。しかし、CO2は常に安定な状態を維持しよ うとするため、エネルギーを放出して基底状態に戻ろうと する。このとき放出されるエネルギーは、光や赤外線とし て放射される。共鳴放射とは、励起状態のCO2が放出し たエネルギーを基底状態にある他のCO2が受け取り励起 状態になり、またその励起状態のCO2が放出したエネル ギーを他の基底状態のCO2が受け取るというように、 次々にCO2どうしでエネルギー授受の共鳴を起こす現象 をいい、このときに放射する赤外線が4.4μmの固有の波 長を持っている。この現象は、図-1に示すように、太陽 光や高温物体あるいは低温物体から放射される赤外線の相 対強度スペクトル分布とは大きく異なるものである。 もう一つの炎に顕著な現象として、"ちらつき"現象があ り、この現象も炎の検出によく利用されている。 物質が燃焼するための条件の一つに、酸素の供給があ り、供給状態により"混合燃焼"と"拡散燃焼"という二つの 燃焼状態に分類できる。混合燃焼とは、可燃性気体があら かじめ酸素と混じり合った状態での燃焼であり、ガスバー ナなどの燃焼がこれにあたる。一方、拡散燃焼は、拡散に よって周囲の空気から酸素の供給を受ける燃焼であり、一 般的な火災はこれにあたる。したがって、拡散燃焼状態に ある炎は、周囲の空気を呼吸する作用があり、これにより 炎が揺らぐ(ちらつく)現象が生じる。同時に、放射される 赤外線量も常に変動しており、変動周波数は1〜15Hzの 間に集中する。 さて、本題の赤外線3波長式炎検知器の検出原理につい て説明する。図‐2にブロック図を示す。 この炎検知器は、CO2共鳴放射帯城の三つの波長帯(4.0 μm、4.4μm、5.0μm)のみを検出するように、光学フィ ル夕を窓材にした三つの赤外線センサを内蔵している。こ れにより、サファイアガラスの検出窓から入射した赤外線 のうち、上記三つの波長帯の赤外線だけが赤外線センサに より電気信号に変換される。この電気信号は、電気的バン ドパスフィルタを持つ信号増幅部にて、1〜10Hzのちら つき周波数成分だけが選択、増幅される。火災判断部では 三つの増幅信号を受け、各々の信号値の大きさや信号値間 の比率などを計算する独自のアルゴリズムにより、炎から 放射されたCO2共鳴放射のスペクトルピークパターンを 検出した場合にのみ火災であると判断し、警報信号出力部 に火災信号を送出する。 したがって.炎に対する選択性能が非常に高く、白然光 や蛍光灯・ナトリウム灯、水銀灯などの人工照明には反応 しない。
主な設置例として、大空間建築物、石油化学プラントな どの屋外施設がある。 |
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