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新しい消火設備(1)
新しい消火設備講座連載にあたって


鈴木弘昭 ヤマトプロテック(株)統括室
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キーワード: 消火設備(Fire Extinguishing System),消防法改正(Revision ofFire Service Law),消火設備の発展(Development of Fire Extinguishing System),水系消火設備(Water Fire Extinguishing System),泡消火設備(Foam Fire Extmguishing System),ガス系消火設備(Gas Fire Extinguishing System),ウォータミスト(Water Mist),動向(lmportant Trend)

はじめに

 建築物の火災時には、空調設備の影響が結構かかわって いる。ちゅう房のダクト火災のように、直接の火災ルート になることもあれば、通常の空調設備が稼働していると き、ある部屋で起こった火災で、発生した煙が同一空調系 の他の部屋にいち早く伝播し、同一空調系の空間全体に拡 散してしまう場合もある。空気をきれいにしてリターンす るはずの空調が、ときには煙の運搬役になってしまうこと もある。
 建築消防にかかわる最近の基準改正の流れは、多くの火 災事故を背景に、消防用設備の技術の向上を取り入れて、 合理的に、かつ、効果的に火事を抑えようとする意図がう かがえる。また、国際的な規制緩和を踏まえて、より一層 の合理化に絡んだ改正が進められてきた。
 本編は、空調設備との関連ではないが、人的に、物的に 大きな社会問題につながる火災事故が発生するたびに、再 発防止策としてそれまでの防火・防災設備に関連する基準 を見直し、ときには対症療法的に、ときには基準全体の合 理性を整理しながら改正が行われてきたことと、現在の消 火設備、火災報知設備、消防防災システム評価などについ て、各分野の専門家の執筆により、今回より5回にわたっ て連載するものの第1回である。今回は、消火設備の発展 についてもごく簡単にまとめた。

1.消防設備にかかわる基準の最近の動き

 消防庁から出される法令改正、通達などは年間20通前 後に達する。そのうち、平成8年のスプリンクラ設備に関 連する幾つかの改正は、特に最近の技術の向上を取り入れ たもので、合理的な改正が図られている。これには平成7 年11月、埼玉県の製缶工場のラック式倉庫火災をはじめ、 多くの火災事例を基に再発防止策が図られている。
 改正項目の主なものでは、スプリンクラヘッドの種別に 応じた設置基準を整備、消防機関へ通報する火災報知設備 および通報装置など、高層建築物・大規模建築物などに設 置される消防用設備などの監視や操作などを行うための操 作盤の設置基準の整備などがある1)
 また、都内の立体駐車場で二酸化炭素消火設備が誤って 作動して死傷者を出した件に関連して、安全対策の徹底を 促す通知やその後、全域放出方式の二酸化炭素消火設備の 安全対策ガイドラインとして新たに基準化された。
 このほか、最近の規制緩和の要請、消防用設備などにか かわる技術の向上など、誘導灯および誘導標識、排煙設 備、連結散水設備ならびに連結送水管について、性能に応 じた設置方法の設定や基準の合理化、自動火災報知設備の 地区音響装置の区分鳴動方式の見直し、音声警報機能付き の地区音響装置の技術基準の整備、ラック式倉庫に設ける スプリンクラ設備、計量単位を国際単位系とする規定の整 備など多数の改正がなされた。
 スプリンクラヘッドの設置間隔にかかわる基準の合理化 については、防火対象物の各部分からスプリンクラヘッド までの水平距離について、個別のスプリンクラヘッドの性 能に応じた距離にすることができるよう合理化された。
 誘導灯および誘導標識にかかわる技術基準の設置位置 は、"避難口の上部に"限定されていたが、"避難口に、避 難上有効なものとなるように"設ければよいことになった。
 通路誘導灯の照度の確保や省エネルギータイプの誘導灯 (高輝度誘導灯)の開発・普及灯を踏まえ、照度にかかわる 規定が削除され、避難口誘導などと表示内容、色彩および 設置方法にかかわる表現の整合が図られた。誘導標識につ いても、避難口誘導灯と表示内容、色彩および設置力法の 表現が改正された。以下に、代表的なものについて概要を 記す。

1.1 スプリンクラヘツドの種別に応じた設置基準
 火災を早期に感知し、かつ、広範圏に散水することがで きるスプリンクラヘッドとして、高感度型スプリンクラ ヘッドの設置基準が制定され、閉鎖型スプリンクラヘッド の技術規格のうち標準型ヘッドで、感度の種別が一種、か つ、有効散水半径が2.6m以上のものが規定された。
 この高感度型ヘッドは、高感度型ヘッドを設置する場合 には、天井または小屋裏の各部分からスプリンクラヘッド までの水平距離が、従来の標準型ヘッドの場合よりも防火 対象物、または、その部分に応じて0.2〜0.3m長くする ことができることになった。
 高天井の部分に適した放水型ヘッドなどを設置する場 合、可燃物が大量に存し、消火が困難と認められる部分で は、床面から天井までの高さが6mを超える部分が高天 井の部分に相当する。また、放水型ヘッドなどはヘッドの 性能に応じて、高天井の部分の火災を有効に消火すること ができるように設けるとともに、放水区域の床面積1m2 につき5l/minの水量が放水されるように要求されてい る。
 放水型ヘッドなどを用いるスプリンクラ設備の設置およ び維持に関する技術-Lの概要は、次のとおりである。
 1)
放水型ヘッドなどは、火災の感知に連動して自動的 に放水を開始すること。ただし、防災センターなどに おいて、火災の発生を確認し、かつ、直ちに当該設備 を作動させ、放水を開始することができる場合を除 く。
 2)
小区画型ヘッドおよび側壁型ヘッドは、"閉鎖型ス ブリンクラヘッドの技術上の規格を定める省令"に規 定されている小区画型ヘッドおよび側壁型ヘッドであ ること。
 3)
小区画型ヘッドは、令別表第1(5)項もしくは(6)項 に掲げる防火対象物は宿泊室など(宿泊室、病室その 他これらに類する部分)に設けることができる。
1.2 屋内消火栓設備およびスプリンクラ設備の代替設備

 屋内消火栓設備およびスプリンクラ設備の代替設備につ いては、既存防火対象物にかかわる特例の代替措置とし て、パッケージ型消火設備またはパッケージ型自動消火設 備の設置が認められているが、これらについて相当の措 置、奏効実績を挙げて当該設備以外にも屋内消火栓設備お よびスプリンクラ設備の代替となりうる消火設備・機器が 認められるようになった。
 すなわち、人がホースを延長し、ノズルから消火剤を放 射、ノズル、ホース、リールまたはホース架、消火剤貯蔵 容器、起動装置、加圧用ガス容器などを一つの格納箱に収 納した"パッケージ型消火設備"は、屋内消火栓設備の代替 設備とすることができる。
 スプリンクラ設備の代替設備として、火災により生ずる 熱、燃焼生成物などを感知し、自動的に消火剤を放射して 消火を行う固定した消火設備で、感知部、放出口、放出導 管のほか、一つの格納箱に収納された消火剤貯蔵容器な ど、受信装置、作動装置、加圧用ガス容器などにより構成 されるパッケージ型自動消火設備も性能などにかかわる技 術上の基準が設けられた。
 一方、屋内消火栓設備およびスプリンクラ設備に代え て、屋内消火栓設備およびスプリンクラ設備の代替として 設置可能な消火設備の性能、機能、設置上の条件などにつ いて、基準が設けられ、パッケージ型消火設備は、その性 能などに応じてT型およびU型に区分し、耐火建築物およ びそれ以外の建築物についての基準が設けられた。

1.3 火災報知設備
 火災報知設備は、M型発信機およびM型受信機以外に 消防機関へ常時通報ができる電話を設置した場合には、火 災報知設備を免除できるが、過去には、通報の遅れが指摘 されていたために、現行では次のとおりである。
 1)
消防機関へ通報する火災報知設備、火災通報装置は 種別に応じて、設置すべき場所が規定されている。
 2)
消防機関へ常時通報することができる電話を設置し た場合には、消防機関へ通報する火災報知設備を設置 しなくてもよい。
1.4 消防用設備などにかかわる操作盤
 高層の建築物、大規模な建築物などにおける操作盤は、 各種の消防用設備などが設置され、その監視または防護す べき部分も広範囲にわたること、火災発生時に迅速、か つ、的確な対応が十分に行えないこともあること、などか ら、次のようになっている。
 1)
個々の消防用設備などが設置されている場所のみで は、消防用設備などの監視、操作などを行う操作盤は 防災センターなどに設置すること。
 2)
消防用設備などの監視、操作などを行うことがで き、かつ、火災時に必要な措置を講じることができる 場合は、操作盤を設置しなくてもよい。または防災セ ンターなど以外の場所で監視、操作などを行うことが できる。
1.5 二酸化炭素消火設備
 二酸化炭素消火設備では、誤って作動して、死傷事故に つながったケースをきっかけに安全性が強化され、下記の 概要となった。
 1)
全域放出方式の設備を設置した防護区画と防護区画 に隣接する部分を区画する壁、柱、床または天井に開 ロ部が存する場合は、消火剤を安全な場所に排出する こと。
 2)
防護区画に隣接する部分の出入口などの見やすい箇 所に防護区画内で消火剤が放出された旨を表示する表 示灯を設けること。
 3)
消火剤が、防護区画内に放射される旨を報知する音 響警報装置を設けること。
1.6 自動火災報知設備
 従来は、地階を除く階数が5以上で、延べ面積が3,000 m2を超える防火対象物またはその部分に、出火階および その直上階などに限って警報を発することもできる区分鳴 動方式とすることができることとなっていたが、現在は区 分鳴動方式であっても下記が要求される。
 1)
一定の時間が経過した場合、または新たな火災信号 を受信した場合には、防火対象物またはその部分の全 区域に自動的に警報を発すること。
 2)
地区音響装置が音声により警報を発するものと、そ れ以外のものに区分される。

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