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2.インバータ利用機器とその応用

 空調設備、衛生設備におけるインバータは、下記の目的で利用されるのが一般的である。
1)
省エネルギー
2)
環境性向上(環境維持、快適環境、低騒音など)
3)
機能向上(制御の高度化など)
4)
始動特性の改善
以下1)〜4)のそれぞれについて、具体例を交えながら日的に応じたインバータ利用について述べる。
2.1 省エネルギー

 空調・衛生設備に用いられる動力機器の能力は、一般的にピーク時の負荷に合わせて設定されている。 そのため、平常時は余裕があり、インバータで回転数を制御し絞り運転することによって省エネルギーにつながる。 ファンやポンプは、負荷トルクが回転数の2.乗に、軸動力は回転数の3乗に比例する。 このため、モータを一定速度で運転し、ダンパなどで制御する場合に比べ、インバータで回転数を制御することにより、 省エネルギー効果が得られる。以ート、その内容について述べる。
 モータで駆動される機器の負荷の大きさは、モータの軸動力で求められ、 軸動力(P)は負荷トルク(T)と回転速度(N)の積に比例する。
 P∝TN
 負荷には、回転速度が変化しても負荷トルクが一定の定トルク負荷(コンベアなど)、 負荷トルクが回転数の2乗に比例する2乗低減トルク負荷(ファン、ポンプ、ブロアなど)がある。 いずれの負荷においても、回転速度が下がれば軸動力が低下するため、省エネルギーとなる。 特に、2乗低減トルク負荷では、次のようになる。負荷トルク(T)は、回転速度(N)の2乗に比例する。
 T∝N2
 したがって、軸動力(P)は、回転速度(N)の3乗に比例する。
 T∝N3
 このことから、2乗低減トルク負荷においては、回転数を下げることにより、 大きな省エネルギーにつながることがわかる。
 例として、ブロアのダンパ制御とインバータ制御についての比較を述べる。
 図-9は、ブロアの運転特性で、回転数(風量)に対する必要動力の関係を示している。 ダンパの取付け位置により、吐出し側ダンパ制御と吸込み側ダンパ制御がある。 吐出し側ダンパ制御は、送風抵抗を変化させる方法で、風量調節範囲が狭く低風量域での ロスが大きいという欠点はあるが、1台のブロアで複数のダクト系統に送風する場合に適用できる。 一方、吸込み側ダンパ制御は風量調節範囲が広く、低風量域でのロスは小さい。図中理想曲線とは、 回転速度の制御効率が100%の場合の風量に対する動力の関係を示したもので、 インバータ制御はこの理想曲線のやや上側にある。例えば、風量100%の状態から60%に絞った場合についてみると、 図-9より、吸込み側ダンパ制御では必要動力60%、インバータ制御では必要動力30%となり、その差30%の動力減になる。



〔具体例〕外気処理用空調機のインバータによる変風量制御

使用時間帯の異なる複数の空調系統があり、外気取入れを複数系統まとめて行う場合のインバータ利用について示す。
1)
空調方式:ゾーン別単一ダクト空調機+外気処理用空調機
2)
空調系統
 a)一般居室系統(9:00〜18:00)
 b)24時間系統(0:00〜24:00)
図-10に空調系統図を示す。

 24時間系統の空調系統があるため、外気処理用空調機は24時間稼働が要求される。 この外気処理用空調機の24時間運転による空気搬送エネルギーを節減するために、 まず、各々のゾーン別空調機の外気供給ダクトにON-OFF機構付きの定風量装置(CAV)を設置し、 各空調機停止時にはCAVを強制的に閉止する制御機構とする。 さらに、CAV閉止による必要取入れ外気量の減少を省エネルギーに結び付けるために、 外気処理空調機のファンモータにインバータを利用した変風量システムを採用し、各ゾーン別空調機と運動させ、 外気量の導入を最適化する。
 各ゾーン別空調機の運転に伴い、外気取入れ量のインバータ制御を行った場合と、 吸込み側ダンパ制御による外気取入れ制御を行った場合について比較する。
 時間帯ごとの必要外気量を図-11に示す。

 ファンの風量に伴う必要動力を表-1に示す(図-9の値を採用)。

 図-11に示す必要外気量の条件でファンを運転した場合の動力についての比較を、表-2に示す。 表-2からインバータ制御方式と吸込み側ダンパ制御方式のファン動力比は34.2%÷64.0%=53.4%であり、 インバータ導入により、吸込み側ダンパ制御に比べて、約46%の削減となることがわかる。


2.2 環境性向上(環境維持、快適環境、低騒音など)

 クリーンルームにおける汚染物質の流入防止や動物実験施設における汚染物質拡散防止のため、 給排気ファンにより部屋内外の差圧制御を行い室内環境を維持しながら、室外空気の内部への流入や室内空気の 外部への漏えい(洩)を防止する。また、環境性向上と省エネルギーを兼ねた利用として、 クーリングタワーでの利用が挙げられる。夜間運転時は、冷房負荷減により熱交換量が少なくてよいので、 低速運転による風切り音など騒音の低減が可能である。ただし、インバータが発生する高調波の影響で、 モータ固定子、フレーム、ブラケットなどの固有振動数との共振の可能性があるため注意が必要である。

〔具体例〕クリーンルームのインバータによる室内圧力制御

 ICや液晶などを製造するための工業用クリーンルームは、外部からの汚染物質の流入を防止するため、 室内を正圧に保つ必要がある。部屋の清浄度は、HEPAフィル夕を経由した空気の循環で、 OAは単独給排気により行うのが一般的である。クリーンルームでは、生産設備の稼働状況により 空調負荷およびOA負荷が変化し、それに伴いクリーンルーム内の圧力は時々刻々変動、室内を一定レベルの 正圧に保つために、給気・排気ファンのインバータによる差圧制御を行っている。
 図-12に給排気系統図を示す。

具体的な制御方法は、以下のとおりである。
1)
外気処理空調機の給気圧力制御:給気ダクト内末端圧(P1)により、 外気処理空調機ファンのインバータによる回転数制御を行う。
2)
室間圧力制御:室間圧力(dPE)により、VAVの給気風量比例制御を行う。
3)
排気ファンの排気圧力制御:ダクト内末端圧(P2) により、P2が一定になるように、 排気ファンのインバータによる回転数制御を行う。

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