1.インバータ
1.1 インバータの原理
直流を交流に変換する装置をインバータと呼んでいる。逆に、交流を直流に変換する装置は、コンバータと呼ぶ。

図‐1は、機械的スイッチを用いた場合のインバータの原理図である。この場合は、直流を単相交流に変換している。
図‐1においては、4個のスイッチS1〜S4を負荷に対して
ブリッジに組んでいる。そこでS1とS4を同時に閉じれば、
負荷に対してAからBの方向に電源電圧Eが加えられ、実線→の方向に電流iが流れる。
次に、T/2秒後にS2とS3を閉じると同時に、
S1とS4を開くと負荷に加えられる電圧はBからAの方向へと
切り替わる。したがって、電流も点線→の方向に流れる。しかし、図に示すように、負荷にインダクタンスがある場合、
すなわち誘導性負荷の場合はスイッチ切替え前の実線→の方向に電流が流れ続ける。
すなわち、電流は電圧の変化よりも遅れて変化することになる。負荷のインダクタンスは、そのような効果を持っている。
この場合は、電流は電圧の方向とは反対の方向に流れて、電力を電源へ変換することになる。これが無効電力である。
この遅れ時間は、負荷の純抵抗とインダクタンスの比率で決まる。これを力率と呼んでいる。この遅れ時間が終われば、
電流は電圧の方向と同じ方向に流れる。というわけで、この回路に使われているスイッチは、誘導性の無効電力を処理するために
双方向に電流を流すことができなければならない。
S2とS3を閉じてから、
T/2秒後に再びS1とS4を閉じると同時に、
S2とS3を開く。
こうしてS1とS4およびS2と
S3の組合せを交互に開閉すれば、AB間の電圧は図-2のような交番方形波の電圧となり、
直流電圧から交流電圧に変換できることになる。この場合、時間Tが交流の周期となり、その逆数が周波数である。
ところで、このような方法で我々が通常使用している商用周波数、つまり50Hzまたは60Hzの交流を得ようとすると、
図-1のスイッチはT/2時間ごとに開閉を繰り返さなければならないから、例えば、50Hzの場合は毎秒100回の開閉を
繰り返さなければならない。
機械的スイッチでは、このような高速度で開閉を行うことはとても無理であり、またたとえそれが可能であったとしても、
機械的スイッチで電流を遮断する場合は接点間にアークが発生し、接点が消耗してすぐに寿命に到達してしまう。

そこで登場するのが、半導体を用いた無接点スイッチである。半導体の場合は、機械的慣性がないので、
高頻度および高速開閉が可能であり、消耗する部分もないので、寿命についての心配もない。
ところで大部分の半導体は一方向性であるので、誘導性の負荷の場合は図-2(d)の0〜φ、π〜(π十φ)の期間での
逆電流を処理することができない。そこで、例えば主スイッチとして使用されるサイリスタにダイオードを逆方向に接続して、
図-3のような構成とする。
こうすることにより、誘導性負荷の場合は、例えばT1とT4オンの
状態で実線矢印の方向に流れていた電流は、このT1とT4を
オフすればD12、D13がオン状態となって
図-2(d)の0〜φ、π〜(π+φ)の期間では(D13→A→負荷→B→D12
→電源)からなる回路を流れ、負荷の無効電力を処理することができる。このような役目をするダイオードを帰還ダイオードと呼んでいる。

さて、主スイッチとしてサイリスタを使用する場合は、図-3のサイリスタT1と
T4のゲートにパルスを与えてターンオンさせ、A側を正極にすることはできるが、
次にT2とT3をオンさせて、
B側を正極とすることはできない。なぜならば、強制転流回路がないため、T1と
T3およびT2とT4で
電源短絡を引き起こしてしまうからである。すなわち、ターンオフ機能のない通常のサイリスタでは、強制転流回路を付加する必要がある。
しかし、通常の空調設備やポンプ運転の場合には、サイリスタが使われることは少ないので、
転流回路についてこれ以上詳細な説明は割愛する。
ところが近年では、任意の位相で自由にオン・オフができる自己消弧形素子が開発され、
これを用いれば、強制転流回路を付加する必要はなく、回路構成は非常に簡単になってきた。

自己消弧形素子としてはパワートランジスタ、GTOサイリスタ、IGBTがあり、これらを用いたインバータ回路を図-4に示す。
このように、インバータは直流電圧を入力して、これを交流電圧に変換する装置である。この変換の仕方によってインバータは、
種々の周波数を連続的に変化することができる。しかし、需要家に電力会社から供給される一般の交流回路でインバータを
使用するためには、まずは商用周波数、すなわち50Hzまたは60Hzをいったん直流に変換しなければならない。
この交流を直流に変換する装置をコンバータと呼ぶ。半導体整流器もこのコンバータの一種である。したがって、
商用周波数の給電回路にインバータが接続される場合には、その前段には必ずコンバータが接続されている。
この周波数変換装置は、正確な表現をすれば、コンバータ+インバータである。しかし、これを一般には簡略化してインバータと呼んでいる。

誘導電動機をインバータで駆動する場合のブロック図を、図-5に示している。
電動機を可変速駆動するために与えられる操作量として電圧、電流、周波数がある。
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