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インバータと高調波(1)
インバータの基礎事項


竹谷是幸
中立電機(株)東京本社
key

キーワード:空調設備(Air Conditioning Systems),給排水設備(P1umbing Systems),インバータ(Inverter),高調波(Harmonics)

はじめに

 大気中の二酸化炭素の量は、年々増加している。その増加は、大気温度を上昇させ、 それは将来人類がこの地球上で生きていくうえで、数々の不都合なことを起こすと国際的に心配されている。 現在地球全体で石油や石炭などの化石燃料の燃焼を通して、1年間に大気に放出されるニ酸化炭素の量は、 炭素にして60億tといわれている。海底も含めて、全地球の火山や温泉を通じて大気中に放出されるニ酸化炭素の量は、 炭素にして年間0.2〜0.3億tと推定されているから、いかに人間活動によるものが大きいかがわかる。 この人間活動により放出される二酸化炭素により、今後10年間に約0.3℃の割合で地球大気の平均気温 が上昇し、上昇幅は今から 35年後の2035年に約1℃、来世紀中には約3℃に達するであろうと予測されている。 そうなれば海水面は上昇し、降水特性は集中豪雨化し、土壌水分は減少するなど、人類にとって非常に住み難い地球に 変ぼう(貌)してしまう。というわけで、何としても化石燃料の燃焼を抑制しなければならない。
 これらの化石燃料は、直接熱としても利用されているが、大部分の熱エネルギーは電気エネルギーに変換されて 需要家に送られ、そこで再び機械エネルギー(動力)、熱エネルギー(空調)、光エネルギー(照明)に変換されて利用されている。 そのなかで、最も大量に消費されているのは動力によってであり、電気エネルギーから機械エネルギーへの変換は、 電動機によって行われている。この電動機により、ポンプやブロワを駆動する場合に、省エネルギーに非常に効果的なのが 本稿で説明するインバータによる電動機の可変速運転であって、第一次石油ショック以降の1970年代から、 パワーエレクトロニクスの発達とともに使用され始め、今日ではその普及には目覚ましいものがあり、 もはや誘導電動機のインバータによる可変速制御は常識となっている。
 しかしながら、光があれば必ず陰の部分がある。インバータによる可変速制御にも弱点があった。 それは、需要家側でインバータを電力網に接続するとインバータ(後で詳細に説明するが、実は入力側にコンバータが 接続されていて)、高調波電流源となって、高調波電流を配電網に送り込み、その結果として配電網に高調波電圧を発生し、 この高調波電圧によって今度は需要家側の機器を誤動作させたり、著しく寿命を縮めたり、最悪の事態では加熱さらには 焼損させたりする。特に、省エネルギーのために必ず使用される力率改善用コンデンサおよびその直列リアクトルの焼損事故が 頻発するようになってきた。この場合の需要家は加害者でもあり、また被害者でもある。したがって、省エネルギーのために インバータが普及するにつれて、高調波対策はますます重要となる。さらに、高調波問題は空 気汚染問題と類似しているところがあって、まさに送配電網における電力品質汚染問題でもある。 それゆえ、これを公害問題としてとらえ、需要家それぞれが公徳心を持って対処しなければならない問題でもあるのである。
 そこで、通商産業省では1994年に資源エネルギー庁公益事業部より"高圧または特別高圧で受電する需要家の 高調波抑制対策ガイドライン"を発布し、需要家側での高調波抑制対策が開始され現在にいたっている。
 本稿では、まず省エネルギーのためになぜ、電動機の可変速運転とそのためにインバータが必要かを説明し、 次に高調波発生の原理、またそれと同時に極めて重要な高調波抑制対策について、省エネルギーのために使用される 力率改善用コンデンサの合理的適用方法も含めて解説することにする2)

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