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燃焼と地球環境(4)
燃焼に伴う環境汚染物質の排出メカニズムとその影響


牧野 敦
静岡大学工学部
key

キーワード:燃焼(Combustion)、環境汚染物質(Environmental Pollutants)、N0(Nitric 0xide)、生成機構(Formation Mechanism)

1. 有害排出ガスの生成と環境汚染
化石燃料(石炭、石油、天然ガスなど)をエネルギー源として使用することが多い現代社会では、より快適な生活、より高度な産業活動を追い求めることは、必然的に化石燃料の大量消費につながっている。化石燃料をエネルギー源として用いる場合には、燃焼によりまず熱という形でエネルギーを取り出すことが一般的で、当然のことながら、燃焼過程でさまざまな物質(例えばCO2、NOx、 SOxなど)が生成されてくる。それゆえ、安易なエネルギーの消費は化石燃料の大量消費、そして排出ガスや有害排出物質などの大量放出を意味しており、大気汚染、環境汚染、地球温暖化、生態系かく乱といった大きな社会問題を引き起こす原因ともなっている。
主として炭素と水素とから構成される化石燃料は、完全燃焼するのであれば、ニ酸化炭素と水蒸気以外は生成されないはずである。しかし実際には、さまざまな原因により完全燃焼が行われるとは限らず、不完全燃焼ゆえに、一酸化炭素(CO)、未燃炭化水素(HC)、すす(またはばい煙)なども生成される。また、燃焼機器の高性能化に伴う燃焼室の高温化により、空気中の窒素が酸化され窒素酸化物(NOx)が生成されることも生じている。さらには、窒素分やイオウ分が多い粗悪な燃料を使用した場合には、燃焼過程でこれらも酸化され、窒素酸化物(NOx)やイオウ酸化物(SOx)が生成されてくる。
環境汚染物質(Environmental Pollutants)と呼ばれるこれらの燃焼生成物は、大気中に大量に排出されると環境汚染を誘発する物質である。環境保全の立場から、この排出を規制することが昭和48年以来行われており、規制はますます厳しいものとなってきている。それゆえ、燃焼機器の性能向上を追求する際には、環境汚染物質の排出低減にも配慮することが当然のこととなってきている。
環境汚染物質のなかでも一酸化炭素、未燃炭化水素、すすについては不完全燃焼に起因しているため、これらの生成抑制は、エネルギーの有効利用とか燃焼機器の高性能化という従来の目標と軌を一にしている。また、ニ酸化炭素の排出削減についても同様のことがいえる。一方、NOxやSOxについては、燃焼機器の高性能化や燃料の多様化に起因して生じてきており、燃焼機器内で生成されるとしても、このままの形で燃焼機器の外へ排出することは極力避けなければならず、生成機構に関する知見は生成を抑制するためにも不可欠なものとなっている。
特にNOxは、大気汚染の代名詞にもなっている光化学スモッグを引き起こしたり酸性雨を引き起こしたりということで、この排出メカニズム(つまり燃焼時におけるNOxの生成機構)は、基礎および応用の両面から詳細かつ綿密に調べられてきた。その結果、生成されるNOxには、大気中の窒素から生成される熱生成窒素酸化物(ThermalNOx)と、燃料中の窒素分から生成される燃料起源窒素酸化物(FuelNOx)とに大別されること、多くの燃焼機器ではまずNOが生成されるため、NOxの低減にはNOの低減を図ることが最優先であることなどが明らかになってきた1),2)
以下、火炎構造が異なる予混合火炎と拡散火炎とについて、NO生成機構の違いを明確にしたうえで、燃料起源NOの生成機構についても解説していきたいと考えている。なお、主たる環境汚染物質の生成抑制ないしは防除については、次回の講座に解説を予定している。

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