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会長の挨拶
 会長就任にあたって
−コロナ禍を越えて−

 公益社団法人 空気調和・衛生工学会
会長 倉渕 隆

 大塚雅之前会長の後任として,第96期、第97期の会長を仰せつかりました倉渕です。これまでの会長が取り組まれてきた数々の施策を踏まえ、空気調和・衛生工学分野の発展のための想いを受け継ぎ、努力をして参ります。会員の皆様方に置かれましてはご支援のほど、よろしくお願いいたします。

 2020年から2022年はコロナに明けコロナに暮れる2年間でした。この間、学会総会はもとより、予定されていた福井大会、福島大会は現地開催を断念せざるを得ない状況となりました。とはいえ、学術理事や学会事務局を中心とした皆様のご尽力により、例年に比べて遜色のない規模の大会が開催できたこと、オンラインならではの利便性や情報伝達力を実感できたことは大きな収穫であり、今後の学会運営の財産となりました。また、日本建築学会と共同で行った緊急会長談話をはじめとして、新型コロナウイルス対策特別委員会がタイムリーな情報提供を行ったことは、学会のプレゼンスを高める上で大いに貢献したと思います。
 未だコロナの収束が見通せない状況ではありますが、今後はコロナと共存する中で新たな日常生活を取り戻す2年間になると予想されます。この間,二十一世紀ビジョン・プラスやこれを踏まえた中・長期計画の実現に向けた改革を推進する所存です。具体的には2022年4月より学会誌の電子BOOK化が実現し,冊子体の送付部数が従来比約6割減となりましたが、さらに電子媒体ならではの魅力ある学会誌の実現を目指します。学会論文集の活性化と投稿数増加のための施策を実施し、その一環として若手研究者・技術者を対象とした学会奨励賞(論文)の早期の実現を目指します。各種表彰制度の見直しを実施し、優れた技術者・作品を幅広く表彰できる体制を整えます。IT環境を有効に活用した教育セミナー、WEBジャーナル、会員間の交流促進、学術情報の発信環境の整備を進め、魅力ある学会の実現を目指します。
 一方,2020年に当時の菅首相が所信表明演説で2050年にカーボン・ニュートラル実現の目標宣言を行いましたが,新築建築物におけるZEB比率は1%にも満たない現状があります。また、2022年に起こったロシアのウクライナ侵攻に伴う世界規模のエネルギー危機は、地球温暖化対策とは別次元でのエネルギー・セキュリティの課題を突きつけております。こうした中で、カーボン・ニュートラル実現に向けて、オフサイトの再エネ評価や施工時のCO2排出量評価など、学会として検討すべき課題を追求して参ります。
 振り返りますと、私の最初の学会発表は給排水分野で、以後36年間学会に支えられて研究者・教育者として歩んでまいりました。今後ともこれから学会デビューする皆さんの成長を支える学会であり続けたいと思い、そのための基盤整備を進めていく所存
です。